妙手優先ルール のラスボス

「詰将棋の世界」 p17 の、前に引用した記述の一部に

変長などのグレーゾーンルールの存在は、かつての妙手優先ルールの名残なのです。

とある。もう殆ど、妙手優先ルールが無くなっているような感じがする記述だがが、私見によれば、まだあるのだった。それも、スゴイのが。

それは、詰上がりには、攻方の持駒は余らない、というものだ。

実戦における詰がりの場合は駒が余るのが普通である。だから、がりに駒が余らない順には妙手感がある。妙手優先の手軽な方法なので一般化してしまい、妙手優先のルールに含まれていないような判断をする状態になったと思われる。

「攻方最短、受方最長」では、がりに駒が余らない順を選ぶことは決められない。妙手優先のルールがあるから、がりに駒が余らない順を選ぶ、という事にもできなかったので、というより、そんなことはも元々想定外だから、玉方は「同手数駒余り順」を選ばない、というルールを組み込んだのだろう。

指し将棋の終盤では、駒得より速度、であり、とくに、詰将棋では、駒得は考えに入れない。それが、私の考えだ。しかし「同手数駒余り順」という概念を入れることにより、「駒得」が手順選定要素の中に潜り込むことになっているのだった。

詰めるのに使わない駒を、攻方は取りにいったり、受け方は逃げたりするのは、「詰」に関係しない「駒得」の事に思えるのだった。

この、ラスボスを放置して、妙手優先ルールを無くそうとしても、いろんな所で矛盾が出るし、長年すっきりしない状態であるのも、納得いくのだった。
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解答募集基準 続

「攻方任意、受方最善」といった解答募集基準は、余詰が頻出していた時期のものだ。だから、余詰が出題されたときの判断を含むものになっているのだろう。

柿木などの検討手段によって、余詰の出題が無視できるほどになった時の解答募集基準は、「攻方最善、受方最善」、すなわち「攻方最短、受方最長」というものになるのだろうか?スッキリしていいようなのだが、多分、反対者が続出してしまうのだろう。

というのは、、

作意手数より長い手数の余詰順は「攻方最短」によって排除されることになる。

この余詰順を消すために膨大なリソースを費やした人にとっては、この変更は看過できないものであろう。

さて、

将棋世界(2021年6月号)に、藤井聡太二冠の詰将棋 があり、その解答は

初手、最終手のみで可

となっている。

他の詰将棋では、このような制限はつけてはいない。

推測するしかないが、解答を送ってくる人数が多いと思われるので、できるだけ解答審査を簡便にしたい、という出題誌の判断なのだろう。

別に問題があるわけではない。

このように、出題者は自由に、解答募集基準を決め、それにあった出題をすることができる。

初手、最終手のみで可、という解答募集基準が、将来一般的となり、初手、最終手のみで正解順を特定出来ないものを、不完全作などという状態になったらエライことだ。

もしかして、現在は既にエライことになっているのかもしれなかった。

解答募集基準

「詰将棋の世界」 p17 には、以下のような記述がある。

しかし時代が下がり、新聞や雑誌に発表された詰将棋の解答を読者が応募する文化が一般的になるにつれ、「好手、妙手があるのが本手順」という曖昧な基準では困ることが増えてきました。作品によっては、どの手順が正解なのか判別するのが難しかったからです。そこで、正解手順を客観的に確定させる「玉方最善」のルールが、少しずつ整備されていきました。変長などのグレーゾーンルールの存在は、かつての妙手優先ルールの名残なのです。

ここで、「困ること」になったのは、誰か?それは、新聞や雑誌の詰将棋担当者だろう。

数千人もの解答の審査は大変だろうし、もし、余詰作の場合の判定は、詰将棋を知らない者が機械的に判定するのも難しかったろう。そして、余詰作に対する解答者の対応にも、新聞では、いろいろと問題があったようだ。

一般の新聞や雑誌では、出題者の示したものと同じものを正解とするという事だったろうが、「近代将棋」や「詰将棋パラダイス」などの専門誌ではそうもいかないので、何らかの基準は必要だった。

そこで出てきたのが「攻方最短、受方最長」というものだった。大多数の詰将棋は、これに該当する。あとは、指将棋と同様に、いままでは無視していた、2手長い順を得るために間遮(アイシャ)する順の取り扱い方を決めればいい。「受方最長」から言えば間遮する順を選ぶことになるが、指将棋での指手選択基準との乖離がある。で「2手長1駒余り」順(「4手長2余り」順など)も正解とするというような表現で、どちらが原則にあっているかは曖昧にしたようだった。

上記の基準で、上手くいくはずだった。「近代将棋」は余詰作を出題しないを掲げ、「詰将棋パラダイス」では、解答競争(余詰指摘回数も考慮に入れていた?)も始まった。

しかし、まだ、余詰作の出題は続くのだった。

しばらくすると、「近代将棋」は余詰作を出題しないを掲げなくなり、「作意順」・「作意順の余詰順」も正解にすることになる(これは当初からかもしれない)。「攻方最短、受方最長」も、「攻方任意、受方最善」という表現になり、「2手長1駒余り」順も「無駄合」という表現になったし、間遮に関係しない「2手長1駒余り」順も見かけることは稀になった。

なぜ、「作意順」・「作意順の余詰順」も正解と明記したかというと、

作意順より短い手数の余詰があり、変化手順の手数より短くなった場合、作意順は「玉方最善」を満たしていない事になるからだった。

解答審査が済んで数か月たってから、余詰が指摘された場合、運営上解答審査をやり直すことは不可能だろう。だから妥当と思われるのだが、これは、変化別詰を正解としたことになる。この本来不正解な変化別詰を正解にするという矛盾をどうにかせよというのが、変別論争の本質だろう。余詰の出題が少なくなれば矛盾も表面化することもなく、論争もなくなるのであった。

以上のように、解答募集基準をまとめてみたが、事実誤認もあるかもしれない。まあ、少しずつ変わってきたという事は、これからも変わりゆくものだろう。

(B,M,R,C)の手順選択方法

平手などの定跡の研究、部分図での次の一手の研究、などと共通な手順選択方法。

私なんかが、考えるより、もう既にあった。それは、江戸時代に行われていた手順選択方法だった。

「詰将棋の世界」でいえば、p16には、

余詰は最初から排除されていましたが、草創期には詰んだときに持駒が余ることもありました。

p17には、

玉方の王手によって分岐する手順の中で、作者が表現したい手順を本手順とする――当時は、それで何も問題はなかったわけです。

とある手順選択法だった。

当時は、問題なくとも、時代が下ると、困ることが増えてくる。

なんか、世間にも、似たようなパターンがある。

絡んでくるのは、推察のとおり、「新聞や雑誌」なのだった、、





(B,M,R,C) から進まない 続続

さて、玉方にとっての最善手が、具体的に、A-0, A-1,  A-2, B-0, B-1, B-2 で示してある。

これは、多分、玉方のある局面での最善手の選択方法なのだろう。

対戦型の詰将棋のゲーム機で遊んでいた時のコンピュータの選択方法のような感じだ。

また、柿木将棋に解図してもらっているときに、

B-0, A-0 だけを行った結果が「詰みました」となる時点か。

A-1,  A-2,  B-1, B-2 を行った結果が、「求解中」、もしかして「余詰の検索」も一緒に行っていることになるのではと、思ったりするのだった。

原理的には、いいのだろうが、実際にあてはめてみれば、

ほとんどすべての局面で、攻方は詰ますことができる手が複数あるかを確認しなければならない。

と考えられるのだった。

B-1は自己言及的ですが、詰んだ局面を起点として、このルールを繰り返し適用しながら手順をさかのぼることで決まると考えてください。

とある。

これを流用してみれば、まず、 A-0, と B-0 を適用して、樹状図を作成する

1 樹状図で、一番手数が長い、詰んだ分枝を選ぶ。
2 選んだ分枝が変別でないか確認する。
3 変別の場合は分枝を置き換えて、 1 に戻る。 変別でない場合は選んだ分枝が本手順

確認は詰上がりに近い分枝から行い、ここで置き換える分枝は最善手ではなくとも、同手数駒余りか、短い(最短にあらず)手であればいいと思われる。

と、なるのだが、本手順を選ぶことになっているか確信はないし、結局は同じように各局面で玉方の最善手が必要となるのかは定かではないのだった。