2022/09/11
00412/00415 BYZ03411 谷 幹 般若一族と遊ぼう 第一回
( 7) 96/12/31 18:13
みなさんこんばんは。
詰将棋パラダイス大学院担当の首猛夫です。
先日の呼びかけに応じて、長編作家集団「般若一族」で作った作品
(発表済)をやさしく解説するコ-ナ-を開設します。
初心向け講座というよりは中級以上という感じですがなるべく初心
者の方でもわかるようの心掛けます。
超難解作へのステップと考えていただければ結構です。
題して「般若一族と遊ぼう」。
最初にお断りしておきますが、本コ-ナ-はあくまで初心者の方の
ためのものです。
詰将棋の面白さや楽しさを少しでも感じて頂ければそれでOK。
将棋は強いけれど、「詰め将棋にはあまり関心がない」などという
人も結構。
「関心はあるけれど難しい・・・」
大丈夫です、わかりやすく丁寧に解説しますのでご安心を。
では第一回目のはじまりはじまり・・・。
まずは簡単な問題から。
第一図はわたくしの処女作です。
もう18年くらい前の作品で、大井町に将棋センタ-があったころ
三段くらいの人に出題してもなかなかすぐには解けない代物です。
でも答えを聞くとなーんだとなります。
一応みなさんも少し考えて見てください。
この「少し考える」というのがとても大切なことでして、5分以上
考えても詰まない作品は罠に落ちているか、その筋を全くご存知で
ないかのどちらかです。
堂々巡りを避けるためにも、「少し考える」を実行してください。
え?「少し考えてもわからないときはどうするの?」
はい、答えを見てください。
第一図
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀|一
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂|二
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v玉 歩|三
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|四
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香 ・v歩|五
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|六
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:角歩
まず、持駒に「歩」がある詰将棋は打歩詰作品と疑って見ると良い
でしょう。事実この作品も打歩が絡んでいます。
さて初手はどこから手をつけたら良いでしょうか?
とにかく角を打つより手が続かないのですが、上から打ったのでは
玉を寄られて詰みません。
では、初手は▲41角しかありませんね。
この▲41角に玉が逃げるとどうなるでしょうか?
まず▽22玉と逃げる手から考えてみましょう。
これに対して▲32角成りとやっては▽13玉で打歩詰めになります。
第二図がその形です。
第二図(失敗図)
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀|一
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 馬 ・v桂|二
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・v玉|三
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|四
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香 ・v歩|五
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|六
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:歩
そこで、▽22玉には▲32歩成と攻めます。
これに対して▽23玉と真っ直ぐ上がるのは▲33との両王手で詰みま
す(第三図)ので、▽13玉と逃げるのですが、以下▲14歩、▽同玉
▲33と、▽13玉、▲23角成まで捕まってしまいます。
第三図
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
:| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・v銀|一
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂|二
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ とv玉 歩|三
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|四
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香 ・v歩|五
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|六
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:歩
ですから、初手▲41角に対しては、▽13玉と逃げます。
でもそれも簡単な3手詰みですね。
そうです、▲14歩、▽22玉、▲32角成迄ですものね。
それではこれでおしまい(詰み)なのでしょうか?
おっときょうはここまで、あんまり頭を使うとくたびれますよね。
ここで宿題です。
第四図
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀|一
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂|二
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v玉 歩|三
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|四
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香 ・v歩|五
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|六
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
:| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:角歩
初手▲41角(第四図)に対する玉型の最善の受けは何でしょうか?
参考までに今までの読みをダイアグラムにしてみました
▲41角-▽22玉-▲32歩成-▽13玉-▲14歩-▽同玉-▲33と-▽13玉-▲23角成○
| | | |▽23玉-▲33と○
| | |▽23玉-▲33と○
| |▲32角成-▽13玉×
|▽13玉-▲14歩--▽22玉-▲32角成○
(○はその時点で詰んでいることを、×は逃れていることを表して
います。)
00414/00415 VYN03423 岡崎正博 RE:初心向け詰め手筋講座(2)
( 7) 96/12/31 21:01 00408へのコメント
Date:12/31/1996
シゲ太 様:
> 岡崎さんの質問について
岡崎です。
ご回答どうもありがとうございます。
>第2回は詰み形の想定ということです。(急遽(^_^;)
毎回分からないことは、この機会ですから乱入質問しますが、
ご回答はついでの折りで結構ですよ。
こんな疑問を感じている生徒もいるくらいの、軽い気持ちでお読み
下さい。
小生の疑問は、初心者の犯す、悪い例の見本くらいに思って下さい。
> 詰将棋を解くには詰み形を想定するという作業は不可欠です。
>ところが多くの詰将棋は始めに見た図から詰み形を想定するのは
>難しいのがふつうです。
> 下図を見てください。(出典:さわやかな詰将棋105 岡田敏著)
>
> 9 8 7 6 5 4 3 2 1
> +---------------------------+
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・V玉|一
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|二
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・|三
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・V歩|四
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
> +---------------------------+
> 持駒: 角2歩
>
>
> さて、ではこの詰将棋の詰み形をどうやって知り、詰ますのかというと。
>
> この詰将棋の詰み形をいくつか想定し、そこへ持っていくための手を
>くだして詰ますことができたら、それはまったく理論的にこれを解いた
>といえるのかもしれませんが、多くの場合そうではなく手を読み、つなげ、
>試行錯誤の中から詰み形をさがしているというのが正しいように思います。
>(では瞬間的に解く人は何なのだ、ということになりますがーー誰か教えて)
>
> わたしの解き方は手をつなげるには初手の王手は21飛捨てしかない
>というところから読みに入っていきます。
1)歩は打歩詰めになってしまうから打てない、角は王手にならないから
打てない。従って第1手は、飛車捨てですね。
1二に捨てると、銀の利きからいって難しそう、玉は下段に落とせで、
第一感、▲2一飛成捨てですね。
2)△同玉はしかたない。
> 詰将棋の大きな要素に必ず詰む、というのがあります。これは指し将棋と
>まったく異なるところで、ゆえに詰将棋というのは指し将棋にくらべたら
>かなり解明しやすいものであると言えると思います。
> さてそういうわけで21飛捨てから手をつなげていけば見えてくるものが
>あるだろうというわけです。そして攻めの拠点を32角か、43角かと
>模索しながらおおざっぱな読みとともに感覚的なものも使って詰み形を
>さがしていくわけです。
3)第3手、第一感は、角しかないのだから、銀の利きを外して、
▲3二角、か、▲4三角。上に逃げられるのも警戒しないとい
けないので、▲4三角も考えておかないと。
それに、三線以内だから成りのことを考えると、出来ることな
ら、金がないのだから、4三から打って成りをみたい。
(何か指し将棋の考え方みたいですね、考える手順がおかしか
ったら、指摘して下さいね。これは初心者のおかしい見本です
から。)
4)△1一玉、これも角の打つ位置を限定してここしかない?
5)でも、ここじゃあ何も出来ないから、▲1二歩、△同玉、
6)ありゃ、最初の▲4三角待ったですね?
▲3二角にしてやり直し。
でも同じになるかしら...?(読み)大丈夫ですね。では待った
をして最初から、
▲2一飛成
△同玉
▲3二角
△1一玉
▲1二歩
△同玉
▲2三角打
7)△1三玉は、▲1四角成でうまくないから、△1一玉、はしょ
うがない。うん、ここで第1回の最初の五手詰めに戻った。
捨て駒をして詰められる位置に玉を移動させるんでしたよね、
▲2一角成、△同玉。
8)それから、玉をつかまえるための空間を作るで、
▲3二角成
△1二玉
うん、詰んだ。
▲2二馬
なんか、うまく解けちゃったけど、これ、シゲ太さん、ズルしてま
せん?
(女神は常にボクの味方!?)
教科書通りに解いたら、簡単に解ける問題必死になって探すとか...。
うん、分かった。この問題、玉の逃げ方に変化がないんですね。
だから小生でも簡単に解けた。それに最初にヒントが4手。九手詰め
の問題ですか?
でも、13手にビビッて、三分から五分くらいかかっていますよ、きっと。
> 岡崎さんが質問された「つかまえられるとどうしてわかるのか。」は
>あれこれ読んでいるうちに詰み形が見えた、というのがほんとうの
>ところでしょうか。
ウンウン、確かにそうですね。
>つまり詰み形をたくさん知っていることが速く解くひとつの要素になるか
>とは思います。
う~ん、結局、情報データベースの大きさになるんですか?
でも、「ひとつの要素」の要素ということは、外にも、何か隠し駒
があると言うことですね?
>(これじゃ光速の読みにならないって?でもみんなそんなふうに読んでいる
> と思うんだけどなあ。)
フムフム..... .... ? ?? ???
> 前題の5手詰も13玉、23金の詰み形に持っていければというよりも、
>初手は23銀しかないというところから読みに入って、そして詰み形を
>さがすというのが自然かなあと思います。その方が速いでしょう。わたしも
>そうだし。
デモですよ、前題も今題も間口が極端に狭い。しかし、間口が広い
と玄関口でつまづいちゃいますよね。そこでしっちゃかめっちゃか
に成っちゃうんですよ。頭の中は駒が散乱し、盤がぐちゃぐちゃ、
読みはあっちへいったりこっちへいったり、散らかって収拾付かな
くなります。
変化も極端に少ないですよね。
圍棋文化研究會 岡崎正博
e-mail: VYN03423@niftyserve.or.jp
00415/00415 VYN03423 岡崎正博 RE:初心向け詰め手筋講座(4)
( 7) 96/12/31 21:01 00410へのコメント
Date:12/31/1996
シゲ太 様:
> 9 8 7 6 5 4 3 2 1
> +---------------------------+
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
> | ・ ・ ・ ・ ・ 竜 ・ ・ ・|四
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・V玉V角|六
> | ・ ・ ・ ・ ・ 竜 ・ ・V角|七
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
> +---------------------------+
> 持駒: 桂歩
この問題、盤に並べずに1分くらいで解けました。
1)1八桂の利きを確認したあと、玉が逃げられるのは、2五と1五
なので、取り敢えず上を止めて、▲2四竜、玉の逃げ道を作る
ためには、△2五角の一手。
2)ここでちょっとズルをして、持駒が歩と桂だから、ここで歩を
打たないと、打つ時がなくなるから▲2七歩、△1六玉はこの一手。
詰む位置に移動させるですよね。
3)a)あとは、歩を捨てられない
b)1七の角は、玉の逃げ道を作るから、最後でなければ動か
してはいけない
の条件で、
▲3六竜、△同角
▲2八桂、△同角
で、積みの空間を作り
▲2六竜まで
これも、ほとんど必然で詰みました。
> 9 8 7 6 5 4 3 2 1
> +---------------------------+
> | ・ ・ ・V歩 ・V玉 ・V桂 ・|一
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・V飛 ・ 馬|二
> | ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・|三
> | ・ ・ ・ ・ ・V歩 ・ ・ ・|四
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
> | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
> +---------------------------+
> 持駒: 金4
これは閉口して、五分近く、どうやったら、飛車がどいてくれるか、
並べる前に悩んでしまいました。方法が思い付かなかったのです。
気がついたら簡単に解けました。
ただ、この問題、4四の歩はどのような意味がありますか?
小生の邪道の解き方では、何か意味があろうと、変化について、か
なり悪戦苦闘しましたが、見つかりませんでした。
ほとんどの時間は、この4四の歩が何か意味あるに違いないという
変化の読みでしたが、見つからないまま、詰んでしまいました。
もし、小生の読みが正しいとしたら、こういう不要の駒がある問題
は、何というのですか?
解答者の勘を錯乱させるための無駄駒の配置は、別に問題にならな
いのですか?
1)▲3一金 △同玉 必然ですよね?
2)▲2二金 △同飛 必然ですよね?
3)▲4一金 △同玉 必然ですよね?
4)▲2三馬 △同飛 必然ですよね?
5)▲4二金
4四歩の意味を教えて下さい。
> ちょうど「さわやかな詰将棋105」という岡田敏さん著の
> 本がありましたので、それで9手詰21題を再度解いてみました。
教科書は来年そうそう、探して買って来ます。
頓珍漢な乱入に閉口せずに、来年も宜しくご指導下さい。>シゲ太さん
では皆さん、よいお歳を。
圍棋文化研究會 岡崎正博